FSRS とは?
Recense チーム · 2026-06-25 更新
FSRS(Free Spaced Repetition Scheduler)は、カードごとに記憶が薄れかける瞬間を予測し、まさにそのタイミングに次の復習を組み込むモダンなアルゴリズムです。Recense を動かしているスケジューラーであり、Anki がバージョン 23.10 で、長年使われてきた SM-2 と並ぶ選択肢として採用したものでもあります。
FSRS はどんな問題を解決しますか?
カードを早すぎるタイミングで復習すると、まだ覚えているものに時間を浪費します。遅すぎればすでに忘れていて、振り出しに戻ります。役に立つのは「忘れる直前」という窓であり、その窓はカードごと、人ごとに違います。Ebbinghaus は1885年、この減衰を忘却曲線として初めて描き出し、記憶は最初に急落し、その後なだらかになることを示しました。スケジューラーの仕事は、各復習をその曲線の底の近くに置くこと。一度の想起が曲線を平らにする効果は、そこで最大になります。
固定インターバルではこれをうまくこなせません。簡単すぎると感じるカードと、何度も間違えるカードが同じ時間割で戻ってくるべきではないのに、画一的なスケジュールは両者を同じに扱います。FSRS はカードごとに最適な瞬間を推定するので、簡単な内容はずっと先へ流れていき、手強い内容は近くにとどまります。
FSRS の記憶モデルはどう働きますか?
FSRS は、各カードについてのあなたの記憶を3つの数値で表し、復習のたびに更新します。
- 想起可能性(Retrievability):今この瞬間にカードを思い出せる確率。前回の復習からの経過時間とともに減衰し、スケジューラーが見張っている値です。
- 安定性(Stability):その想起可能性がどれだけゆっくり下がるか。安定性が高いほど、次の復習が必要になるまで記憶が長持ちし、想起に成功するたびに上がっていきます。
- 難易度(Difficulty):このカードがあなたにとってどれだけ難しいか。難しいカードは安定性が上がりにくいため、より頻繁に戻ってきます。
カードを評価すると、FSRS は安定性と難易度を再計算し、想起可能性が目標値(一般的には90%前後)まで下がると予測される時点に次の復習をスケジュールします。このモデルは GitHub の open-spaced-repetition プロジェクトによって大量の実際の復習データをもとに調整されているため、その予測は固定の経験則ではなく、記憶が実際に振る舞うとおりに追従します。
FSRS の復習は実際にはどんな流れですか?
表面に fastidious、裏面にその意味「細部まで注意深く気を配る」と書いたカードを追加したとしましょう。カードを見て、意味を思い出そうとし、自己評価します。「Good(思い出せた)」と評価すれば、FSRS は次の復習を3日後に設定するかもしれません。そこでも楽に思い出せれば安定性が上がり、間隔は1〜2週間、次は1か月、さらにその先へと延びていきます。きれいに思い出せるたびに、より長い休みが手に入ります。初めて「Again(もう一度)」を押すと、FSRS はそれをこのカードの安定性が低いサインと読み取り、間隔を1日ほどに戻し、難易度を少し引き上げて、以後そのカードをより注意深く見守ります。数値を自分で選ぶことは一度もありません。想起がどうだったかを伝えるだけで、スケジュールはひとりでに組み直されます。
FSRS は SM-2 とどう違いますか?
SM-2 は Anki が長年使ってきたアルゴリズムです。インターバルに ease factor(易しさ係数)を掛け、評価に応じてその係数を上下させます。堅実でシンプルですが、忘却の形を固定とみなし、カードごとのひとつの ease 値に大きく依存します。FSRS は想起可能性・安定性・難易度を別々にモデル化し、実際の復習履歴に合わせてチューニングされているため、あなたにも各カードにも、より正確に適応します。実用上は、まだ覚えているカードに時間を使わない分、より少ない総復習回数で同等の定着率に届くことが多い、という違いになります。
| FSRS | SM-2 | |
|---|---|---|
| 記憶モデル | 難易度・安定性・想起可能性 | カードごとに ease factor ひとつ |
| データへの適合 | 大規模な実復習データで学習 | 手作業で設計されたヒューリスティック |
| 目標 | 自分で設定した想起確率を狙う | 固定係数でインターバルを拡大 |
| カードごとの適応 | あり、毎回の復習で | 限定的、ease のみ |
| 提供状況 | オープンソース。Anki には 23.10 から | Anki の従来デフォルト |
FSRS でよくある失敗は?
- 正直に評価しないこと。本当は当てずっぽうだったのに Good を押すと、モデルは誤った安定性を学習し、カードは遅すぎるタイミングで戻ってきます。実際に起きたことをそのまま評価しましょう。
- 期限前の詰め込み復習。想起可能性がまだ下がっていないうちに早めに復習しても、モデルに与えるシグナルはわずかで、その復習は無駄になります。キューを信じましょう。
- 非常に高い定着目標を追いかけること。98%の想起を求めると、わずかな上積みのために復習の山に埋もれます。90%前後の目標が通常のバランスです。
- 難しい内容を巨大な1枚のカードに詰め込むこと。何度も失敗するカードは、スケジューラーと戦うのではなく、小さなカードに分割するのが解決策であることが多いです。
Recense で FSRS の設定は必要ですか?
いいえ。FSRS はデフォルトで有効になっており、初期設定のままで十分実用的です。あなたは各カードの出来を評価するだけで、タイミングはスケジューラーが引き受けます。その結果、無駄な復習が減り、長期の定着が安定し、毎日のキューは恣意的なリストではなく、本当に忘れかけているものを映すようになります。
結論:FSRS はタイミングの当て推量を、カードごとの予測に変えます。ひとつひとつの記憶がどう薄れていくかをモデル化し、想起の効果が最大になる時点に次の復習を予約する。だから、より少ない総学習時間で、より多くを覚えていられます。
よくある質問
- FSRS は何の略ですか?
- Free Spaced Repetition Scheduler の略です。open-spaced-repetition プロジェクトが開発したオープンソースのアルゴリズムで、難易度・安定性・想起可能性から成る人間の記憶モデルを使ってフラッシュカードの復習をスケジュールします。
- FSRS は SM-2 より優れていますか?
- ほとんどの学習者にとっては、はい。FSRS は固定ルールではなく大量の実際の復習データをもとに調整されているため、旧来の SM-2 アルゴリズムより少ない復習回数で同等の定着率に届くのが普通です。SM-2 も機能はします。FSRS のほうがカードごとに正確なだけです。
- Anki が FSRS を追加したのはいつですか?
- Anki は2023年10月リリースのバージョン 23.10 で FSRS を追加しました。デッキごとにオンにでき、Recense では設定不要でデフォルトのまま使われています。
- 定着目標はどのくらいに設定すべきですか?
- 想起90%前後が一般的なバランスです。それより高くすると、わずかな定着の上積みのために復習が積み上がります。大きく下げれば時間は節約できますが、取りこぼすカードが増えます。90%なら作業量が無理のない範囲に収まります。
- Recense で FSRS の設定は必要ですか?
- いいえ。FSRS は適切な初期設定でデフォルト有効です。各カードを正直に評価するだけで、あとはスケジューラーがやってくれます。
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